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立木の放射能を分析し、構内の汚染状態を評価しています

2014年5月9日

今般、東京電力株式会社福島第一原子力発電所構内にある「立木」の放射能分析を行いました。これは将来、同構内から発生した放射性廃棄物を処理・処分する段階において、その方策を検討するにあたって、必要となる基礎データの蓄積・評価を行うため、研究の一環として行ったものです。これは、経済産業省の委託事業として、IRIDのもと、日本原子力研究開発機構(JAEA)が中心となって進めている研究(「放射性廃棄物処理・処分技術開発」の内、「福島第一原子力発電所構内で採取した立木の放射能分析」)です。

 

これまで、発電所構内の汚染分布状態を把握するために、発電所構内を空間線量率分布に基づき20エリアに区画・設定を行った上、各種環境試料を採取してきていますが、平成25年度の研究においては、「立木」を対象とし放射能データの取得・分析を行いました。立木を採取する理由としては、瓦礫などでは、事故後移動させられてしまった可能性も否定できず、この立木を試料として選ぶことで、事故によってどのような放射性核種が構内のどの区画に拡散されてしまったのかという、汚染分布状態のデータを把握することが可能となり、その観点で「立木」は、動かぬ証拠を示してくれる存在だと言えます。

具体的には構内各エリアにある代表的樹木のマツ(松)を、各3本程度ずつ選び、高さ4m程度のところにある「枝葉」を採取したもので、表面線量率の高い30試料を選定の上(無いエリアも存在)、JAEAの原子力科学研究所に送り、分析を行いました。その結果、空間線量に加え、測定したセシウム137、ストロンチウム90、トリチウムは、ともに原子炉建屋周辺が高く、ほぼ同じ分布傾向にあることが分かりました。これにより、事故時に拡散した放射性核種が主な起源であることも推定できました。また、全体的な傾向を分析すると、セシウム137とストロンチウム90の放射能濃度には、比例関係の傾向が見られ、その値は発電所構外の環境土壌、構内の瓦礫、伐採木と同程度であることも分かりました。

今後、他の放射性核種の分析も含め、蓄積する分析データや事故解析の進展等に基づいた評価を継続実施し、将来の放射性廃棄物の処理・処分方針の検討に役立てていくこととしています。

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※本件に係る関連の公表資料は、以下をご覧ください。
<経済産業省 廃炉・汚染水対策チーム会合/事務局会議 平成26年2月27日 資料3-7>
放射性廃棄物処理・処分「福島第一発電所構内で採取した立木の放射能分析」
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/140227/140227_02ww.pdf

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