④建屋内の汚染水管理

【現状】

建屋内汚染水の流出を防止するため、建屋内の汚染水の水位を地下水位より低くコントロー
ルしており、今後も建屋内の水位管理は維持できると考えるが、建屋内に地下水が流入することにより、今後建屋内のドライアップ等の汚染水除去対策を講ずる際の阻害となるリスク低減とし ての止水対策が重要であると考える。

建屋内への地下水流入抑制対策として陸側遮水壁設置等を予定しているが、何らかの不備によりこれらの対策が十分な地下水流入抑制効果を得られないリスクを低減する為、建屋内から止水材を充填して止水するか、隣接する建屋間のギャップに水ガラス、シリカゾル等の地盤改良を行うなどの対応を実施することが望ましい。(図4-1参照)

しかしながら、原子炉建屋、タービン建屋近傍の一部は高線量下にある為、長時間の作業が困難な環境にある。

また、建屋内から止水する場合、地上より地下へのコンクリート等の止水材を充填する手法などが考えられるが、地下水が流動している状況ではコンクリートが十分な止水効果を発揮しないこと、建屋内地下が複雑な構造である為、地上から隙間無く充填材を充填することが困難であることなどの課題がある。

また、地盤改良を行う場合であっても、地上干渉物、地下埋設物が多数存在し(図4-2 参照)、通常の施工が困難な状況にある。

建屋地下概略図

建屋地下概略図

建屋近傍の状況建屋近傍の状況

建屋近傍の状況

【求める技術】

(1)建屋内止水技術

  • 地下水流入が継続している状態でも、充填後に固化し流入防止できる止水材
  • 建屋地下のような複数の部屋で仕切られている複雑形状の空間においても、地上部から施
    工し隙間無く止水材を充填できる手法や材料(例:水中分離をせず、流動性が非常に高く、硬化時間が長く、比重が水よりも重く、大量の施工が可能な材料)

(1)建屋内止水技術

  • 建屋近傍で地盤改良することにより建屋への地下水流入低減が可能となるが、建屋近傍は
    放射線レベルが高いことから、遠隔作業等により高線量下でも地盤改良技術の施工が可能
    な技術
  • 建屋近傍には地上に障害物が多数存在し十分な施工スペースが確保できないことから、僅
    かな施工スペースで地盤改良の施工が可能な技術、もしくは建屋から離れた地上からボーリ
    ングを行い、建屋近傍の地中に確実に地盤改良や薬液注入が行える施工技術。
  • 建屋近傍では多数の埋設物(地下トレンチ等)が存在し地盤改良の妨げとなることから、これら地下埋設物内部も含めて止水できる地盤改良技術(例:地表に薬液を注入するだけで地中
    全体の透水性を低減できる材料等)