ベント管内へ止水材(グラウト)を充填する「止水工法」検討のための基礎試験実施について
(「止水材」と「閉止補助材」を組み合わせた試験のうち、止水材打設を実施)[東芝]
(2014年4月17日)
*試験体は実機の約1/2スケール
燃料デブリの取り出しに当たっては、燃料デブリを全て水に浸すことで、放射線の遮蔽効果が期待できるとともに、デブリ回収のための加工においても粉塵が飛び散らず、結果、作業員の被ばく低減ができる「冠水工法」(参考:「冠水工法CG」https://irid.or.jp/video/)を基本としています。
冠水工法では、原子炉圧力容器・原子炉格納容器を水で満たしての作業となりますが、現在、圧力容器や格納容器に漏えい個所があるため、冠水工法を行うにあたっては、まずは、サプレッションチェンバー(S/C)の漏えい個所を特定し補修する必要があります。
ただ、上記点検補修作業を進めるにあたって、今後もS/Cを点検補修作業が出来ない状態もあらかじめ想定しておく必要があります。そこで、S/Cそのものを格納容器(PCV)から切り離してしまい、S/Cの漏えい個所の特定・補修が出来なくても格納容器下部(S/C)に対する水漏れ対策が実現できるよう、今の段階から検討を進めるために行ったのが、今回の試験です。
具体的には、8本あるベント管の内側先端部分に閉止補助材を入れ込み、暫定的に水の流路を堰止め、閉止補助材を詰めた後、その上流側に止水材(グラウト材等)を徐々に充填することで、止水を達成しS/CをPCVバウンダリ(境界)から切り離された状態にさせます。
今回は、1/2の部分モデルを使って、ベント管内を流れる水を止水(低減)する試験を実施したところ、良好な結果を得ることが出来ました。
課題としては、ベント管の内側には干渉物となる細管やそのサポートである鋼材が設置されているものもあり、閉止補助材設置後も干渉物があることで隙間(流水経路)が残ってしまう等、良好な止水には工夫が要求されるものと想定していましたが、今回の試験では、止水材がうまく積み上がり、漏水量を所期の想定通り大幅に低減させる結果を得ることができました。
なお、止水材料には水が流れている環境で、流されない状態(急硬性)を作り出し、隙間があっても密実に充填できる流動性の両立が要求されるため、今後とも、現場で想定される過酷な環境でも止水状態にさせることが出来るよう、施工環境に応じた材料の配合要領や打設方法についても引き続き試験を実施しデータを積み重ねることにより、更なる性能向上に向けて検討を行っていく予定です。
また、この試験については、当日テレビ取材を受け放映されました。
試験実施の様子
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【写真】
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ベント管内埋設による止水工法の試験装置 全景①
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試験装置における止水材打設管の設置作業①
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試験装置における止水材打設管の設置作業②
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ベント管内埋設による止水工法の試験装置 全景②
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試験装置における記録兼監視用カメラ設置作業
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試験装置のベントヘッダー模擬部分(漏水の貯水及び漏水計測用の水槽)
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試験装置のベントヘッダー模擬部分(漏水の貯水及び漏水計測用の水槽)近景
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ベントヘッダー側から見た閉止補助材の干渉物周り展開状況と隙間からの漏水
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セメント系材料に混合させる添加剤の調合作業
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試験装置のベントヘッダー模擬部分(漏水時)
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