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「ミュオン透過法」による炉内状況調査の開始について(2015年2月12日)

2015年2月12日

2015年2月12日より、福島第一原子力発電所1号機において、ミュオン透過法による炉内状況の調査を開始しました。

廃炉作業を進めていくためには、溶け落ちた燃料(燃料デブリ)を取り出す必要がありますが、現場は放射線量がきわめて高く、人が近寄ることができません。そのため、現在も燃料デブリの位置等は直接確認できていません。

 

そこで、宇宙や大気から降り注ぐミュー粒子(ミュオン)によって、レントゲンのように原子炉を透視しようという試みが今回の調査です。ミュオンが密度の高い物質を通り抜けた後の粒子の数や軌跡から、燃料の位置や形状を把握する技術です。

今回の実証試験では、障害物が多く非常に高い放射線量下においても、ミュオン透過法の技術がしっかり機能し、原子炉内の状況を把握できるのかまずは検証します。
測定開始から結果が得られるまでには約1ケ月ほどかかりますが、そこで得られた測定データをもとに、原子炉内に残っている燃料デブリの位置・量を評価する予定です。
なお、今回の試験では、測定器を地上1階部分に設置するため、燃料がほとんど溶け落ちたとみられる1号機格納容器の下部(地下部分)は確認できませんが、今後投入予定の遠隔操作ロボット等による格納容器内部調査の結果も活用しながら評価を行う予定です。まずは、多くの情報を収集し、それを総合的に分析・評価することで、最大の課題であるデブリ取り出しに向けた次のステップにつなげていく計画です。

今回の1号機における「ミュオン透過法」の測定は、高エネルギー加速器研究機構(KEK)と連携して取り組んでいます。
2号機では、2015年度中*に、IRID組合員である東芝が、「ミュオン散乱法」で測定開始する計画です。
*当初2015年10月頃を目途に計画していましたが、現地作業との兼ね合いから現在は開始時期等を調整中です。


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【測定器の設置状況】 撮影日:平成27年2月9日 提供:東京電力株式会社
 

※測定器の設置状況(動画)はこちら
(東京電力ホームページ内)
http://photo.tepco.co.jp/date/2015/201502-j/150209-01j.html