原子炉格納容器漏えい箇所の補修技術の開発 サプレッションチェンバ内充填止水1/1スケール試験体へのコンクリート打設試験について[開発担当:東芝](2016年10月15日)
2016年10月15日
IRIDでは、福島第一原子力発電所の廃炉に向けて、平成28~29年度の経済産業省によるプロジェクトとして原子炉格納容器の漏えい箇所に対する補修技術の開発を進めておりますが、このプロジェクトの一環で、格納容器下部の構造体であるサプレッションチェンバ(以下、S/C)内にコンクリートを打設して、漏えい箇所を閉止する施工法を開発中です。
このたび、実規模スケールのS/C試験体にてコンクリート打設を行いました。
●試験概要
福島第一原力発電所2号機のS/Cに対して、円周形状のうち方位45°分について下半分をモデル化した模型水槽に、実規模のクエンチャ、ストレーナ等の内部機器を設置し、更に損傷孔を模擬して、実機に近い状態で水中不分離性コンクリートを打設し、コンクリートの長距離流動状況、強め輪乗越え状況、内部機器の止水状況、及び損傷孔の閉止状況について確認。
●試験場所
株式会社安藤ハザマ技術研究所(茨城県つくば市)
●コンクリート打設試験日
2016年10月15日(土)
●当日の主な試験実施内容
・試験体へのコンクリート打設(9:30頃~16:30頃)。
<損傷孔50ミリ止水試験>
・S/C内想定損傷孔(実機ではφ20ミリ相当を想定しているが、試験はφ50ミリで実施)の止水性及び止水可能な粗骨材寸法を確認。
<クエンチャ・ストレーナ止水試験>
・強め輪(Tフランジ)乗り越え時の材料挙動確認およびその後の材料流動によるS/C損傷部、ストレーナの止水性を確認。
・クエンチャの止水確認については、コンクリート打設後、28日後に耐水圧試験を実施。
【今後の予定】
今回の試験結果を踏まえ、楢葉の実規模試験センターの実規模試験体を用いて、今回と同様のS/C内充填止水試験を行う予定です。
※詳細試験スケジュールは確定次第、ご案内する予定です。
<添付資料1:1/1スケールS/C試験に関する現場状況・概要図>
https://irid.or.jp/wp-content/uploads/2016/10/20161018_001.pdf
<添付資料2:コンクリート打設進捗に伴う時経列事象・解説図>
https://irid.or.jp/wp-content/uploads/2016/10/20161018_002.pdf
<現場写真>
S/C内(試験開始前) | 1時間あたり30㎥の注入量のコンクリートポンプ車 |
コンクリ注入 | S/C内注水(1分あたり75L) |
試験開始前のストレーナ状態 | 水中に沈んだストレーナ |
クエンチャ | ダウンカマ |
10分ごとのコンクリ沈殿量測定 | コンクリートアジテータ車からポンプ車への移送 |
漏えい量の確認(止水前の状況) | 損傷個所漏えい量の確認(止水後の状況) |
本件に関するお問い合わせはこちら